2017/09/08 14:15
七宝文様が透かしで入った鉄地の鐔です。
七宝文様は、着物などでも人気のある文様で、仏教の七つの宝を表し、長寿や富を願い、招く縁起物として重宝されています。
と、まあまあスラリと説明できるようになりましたが菱形だなーとか、何だろこれ、と思っていた期間の方が実は長かったりします。
勉強不足、とても恥ずかしいなぁとは思いつつ、敷居を高くしてるのも、知識がないと触れてはいけない、買ってはいけない、感じがビンビンあるからなのかもしれません。
骨董は、目が効かないとつかまされる、痛い目に遭わないと目が鍛えられないという事もありますが、決して骨董業界だけがそう、というわけではない。
偽ブランド品とか、同じですよね。
美術骨董品である以上経済との関わりもあり、景気の良し悪し、需要の変化で株のように値段は揺らぐ。
それでも好きだ、という気持ちが沸くので集めてしまう、という方に支えられている
価格設定の際に市場と価値と、出来と、文化破壊をされない程度の重み付けと色々な要素があり、とても悩まされる。
それでも破壊するかしないかは購入者に委ねられる。
無知が故に損なわれてしまうこともある。
そこは、私も真摯に勉強を続けて、海千山千のお客様には薫陶をうけ、これからちょっと楽しみたいという方に楽しんで頂けるように、ご案内できるようにすることを続けるしか無いだろうなと思ってます。
それでもご縁があってそばにいる鐔や骨董たちが良きところへ行けるようにしたいなあと、私、拙いわ、経験も十分、勉強も十分とはいえないわ、ではありますが、出しています。
もう、お客様の方が猛者が多くて教わることばかりなので個人的には楽しくてしょうがないのですが
10年見てても入り口にもいないなと感じるほどに深くて楽しくて、飽きないし一生楽しめる世界だということだけは確かですね。
刀剣関連は本当に一筋縄ではいかなくて、歴史も、服飾史も、科学も美術も、考古学も生活史も、時代劇も楽しめる。
ただ、それだけ多岐にわたって関わりもあるということでもあるのでまあ用語が大変で、それも敷居が高いんだろうなーとも思います。
でもその用語を覚えるのも楽しかったり乗り越えるとすごく楽しくなってくるので何だか語学のような楽しみもあって。
正直、大儲けしてお金持ちになってクルーザーに(それはそれでたのしそうですが)…ということを目標にするタイプではないので最低限生きていければいいやということで無茶な価格にはしないようにはしていますが、今まで保存、手入れされ大事にされてきたこと、職人さんたちの仕事っぷりへの尊敬から投げ売る価格にしてしまうと、購入される方はともかくご家族にご理解いただけなくて消失機会が増えたらどうしよう…と価格に関しては本当にしんどいです。
でもでも、知識やなにより、そのものに触れた時に、出会いの時に生まれる何ともいえない感性というか、何だかわからないけど、幸せ、という、人との出会い朋ない、フィーリングが一番大事だったりしますし、そういう出会いを見ると本当に嬉しいのでこの仕事がやめられないのです。
碁石のカタチの鐔 に、 シャープな七宝文。
この鐔は何をもたらしてくれるでしょうか。長寿、冨、幸福、生活の中でささやかに願うことの祈りの文様をそっと携えて、刀と同じ鋼で鍛えられて作られてる鐔は、そっと弾くととてもいい音がします。